既存集合住宅の一室をカフェとしてオープンするプロジェクトである。
オーナーは台湾企業であり、日台両国の著名ロースターがそれぞれ独自に焙煎した豆を両方味わえるというコンセプトとともにスタートした。
そこで、もともと部屋の真ん中に立ちはだかっていたRC壁の存在を肯定的にとらえ、二つの異なる世界を構築する境界面として再定義した。そうすることで日本と台湾、カジュアルとフォーマル、あるいは浅煎りと深煎りとった対称性を表現しようと試みたのである。
RC壁は普通型枠コンクリートの表情を無塗装のまま残し、床の仕上げが連続する開口部ではあえて見切り材を設けた。床・カウンター仕上げと特注ペンダントライトは両サイドで統一しつつ、天井高や平行する壁の色には左右でそれぞれ変化を設けている。
また、上階では宿泊サービスを提供しているため、この場所は宿泊客のための交流スペースという性格も持ち併せている。日本と台湾に限らず、世界中から集まった人びとの間に自然と対話が生まれてくるような空間を目指した。
延床面積
81.30㎡
竣工
2017年7月
内装設計
佐野健太建築設計事務所
・担当
佐野健太、 梯朔太郎
内装施工
FUKURODA工舎
・担当
袋田琢巳