台北市の中心部、古くから残る住宅街に計画中の住宅である。
住まい手は50代夫妻と、今はそれぞれ各国の都市に別れて暮らす3人の子供たち。彼ら5人は、使用人たちとともに寄り添って住まう伝統的華人社会の大家族的な暮らし方を望む一方、独立性が確保され離散的な現代都市生活をも志向している。そこで、ここではそれらが同時に成立するような住宅を目指すこととした。独立住宅でありながら集合住宅のような、各住戸単位と社会とが直接つながり得る住宅の提案である。
敷地は前面道路が4mに満たず、周りの古い建物はみな境界いっぱいに建て込んでいる。現行法規に従えば相当セットバックして配置せざるを得ず、超高密住宅地のなかに自然とヴォイドが発生する。こうしてできた都市のヴォイドを建物外周のバルコニーやアーケード、あるいは避難動線でもある屋外階段と立体的に接続させ、螺旋状に半屋外空間がまとわりつく構成とした。
建物ヴォリュームの最外周に1.2mピッチで100㎜角の鉄骨柱を並べ、1.2m内側にオフセットした位置に、同じく100角の柱を2.4mごとに配置する。主に外側は水平力、内側は鉛直力をそれぞれ負担する外殻構造であり、主要スパン7.2mの無柱空間を実現した。このダブルスキン部分が内部からの要請や周辺環境との関係などによって凹凸をつくり、また、最外周部にブレース効果が期待できる3種類の材料(パンチングメタル、金属ロッドメッシュ+壁面緑化、CLT)でできたパネルを嵌入させることにより、ポーラスでユニークな外観をつくりだしている。
用途
住宅
構造
鉄骨造+一部鉄筋コンクリート造
規模
地上5階、地下1階建て
敷地面積
197㎡
延べ面積
283㎡
設計期間
2017年12月-
設計監理
佐野健太建築設計事務所
・担当
佐野 健太、黃羽韓(元所員)
構造設計
yasuhirokaneda STRUCTURE
・担当
金田泰裕