貸事務所ビルの増築計画である。
ビルオーナーである施主は当初、築26年既存RC造ビルの老朽化を懸念しており、現状にたいする総合的な所見を求められた。
構造体に大きく影響をするような劣化はみられなかった一方で、メインエントランス廻りの乱雑な印象は否めず、また、ヒアリングを重ねていくうちに、テナントのなかには新しい働き方として自転車通勤を推奨したいと考えている企業が多いこと、もともと庇がないため雨天時には玄関先で雨に濡れてしまうといった問題を抱えていることなどがわかってきた。
そこで、それらを一気に解決する方法として提案したのが、9㎜の鉄板一枚によるモノコック構造体である。折り曲げられた鉄板が自転車置場となり庇となり、そして屋外サイン板にもなる。鉛直力のみを負担する鋼棒(無垢材)36φ×2の組み柱は、そのすき間にタイヤを挟む55㎜の幅を擁し、自転車を整列させる車輪止めの役目も果たす。
建築用途
自転車置場、庇、屋外サイン
延床面積
19.61㎡
竣工
2017年6月
構造形式
鉄骨造 + 一部鉄筋コンクリート造
建築設計
佐野健太建築設計事務所
・担当
佐野 健太
構造設計
yAt 構造設計事務所 合同会社
・担当
須藤 崇