代々木上原と笹塚のちょうどまん中のあたり、商店街の切れ目に建つRC造4F建、全12戸の集合住宅である。
まずは、法規上の最大ボリュームにほど近い形態を確保し、そこから周りの街並みにスケールを合わせるようにいくつかのブロックに分節していった。
そこから、コンクリート打放しでは不可避となる打継ぎ目地や誘発目地を積極的に見切りとして利用し、濃度の違う透明保護剤を塗り分けることで、さらなる大壁面の細分化を図っている。
巨大なビルディングで働き学ぶ居住者は最寄駅へとたどり着き、雑多な駅前から商店街を抜け、徐々に民家の立ち並ぶヒューマンスケールなエリアへと戻ってくる。
都心生活者が一日を通じて感じるスケールが連続的に変化していくことをイメージした。
建物のなかに一部出現するR壁も、もとはといえば共用の屋内階段を可能な限り絞るための方策である。
が、反対側にあたる住戸の内部空間を特徴づけると同時に、壁式構造の厚い壁でも表裏一体であることを顕在化している。
12戸それぞれが独立性を担保しつつも寄せ合うように暮らす。
いわば長屋のようにおとなりさんの気配が感じられ、親密感のある雰囲気が醸し出されている。
用途
共同住宅
構造
鉄筋コンクリート造
規模
地上4階、地下0階建て
敷地面積
121.42㎡
延べ面積
312.50㎡
竣工
2020年8月
設計監理
佐野健太建築設計事務所
・担当
佐野健太、梯朔太郎
構造設計
yAt構造設計事務所合同会社
・担当
森部康司
設備設計
建築エネルギー研究所
・担当
迫博司
施工(建築)
フェイスネットワーク